EventDec 27 2018

DESIGNART TOKYO 2018
KEIICHI MURAMATSU × S.I.C.
村松啓市様 インタビュー

2018年10月19日〜28日の10日間、「表参道・外苑前」「原宿・明治神宮前」「渋谷・恵比寿」「代官山・中目黒」「六本木・広尾」エリアのショップやギャラリーなどを舞台に『DESIGNART TOKYO 2018』が開催されました。プロダクト、グラフィック、音楽、インテリアなど様々な分野のクリエイターがコラボレーションし、街のいたるところで創作性溢れるアートに触れられる体感型イベントです。SHINDOはファッションの垣根を超えた新しい取り組みへの挑戦として今回このイベントに初めて参加し、ニットデザイナー村松啓市さんとのコラボレーション作品を展示しました。ヨーロッパでの活動当初より、独特な色や素材の使い方と特許技術を待つほどの高度な表現方法を得意とする村松さんに、リボンの可能性を広げた今回の作品についてお話をうかがいました。

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ーー国内外でのショーやインスタレーション、衣装制作やアートワーク活動など多岐にわたってご活躍される村松さんが、DESIGNART TOKYO 2018に参加されたきっかけを教えてください。

普段はファッションデザイナーとしての仕事がメインなので、アパレルという分野におさまる個性でデザインしていますが、今回のようにクリエイターの新しい魅力を発信するイベントでは、商業ベースの創作ルールに縛られず自由に自分を表現できます。お客様の層も普段とは異なるため、僕を知らない方にも作品を見てもらいたいという思いが参加のきっかけでしたね。せっかく参加するなら「編む」ということを通して何か新しいことに挑戦しようと思いました。

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ーー今回の作品にはどんなテーマを込められたのですか?

紹介する2つのドレス作品は、リボンから生まれる抽象的な造詣がテーマです。ニットデザイナーとして「着るもの」をテーマにした方が、より個性や芸術性を出せるのではないかという所から着想しました。テーマの次に決めたのは表現の方向性。「白いもの」と「カラフルなもの」という両極のものを作ろうと決めて創作活動をスタートさせました。キャンバスに色を足して絵を描くような感覚で作品と向き合いました。

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ーーでは、それぞれの作品をご紹介いただきながら、村松さんの世界に触れていきたいと思います。まずは白をテーマにした「雪の女王」についてお話を聞かせてください。

「雪の女王」は白のシルクリボンを指で編み上げ、立体的なドレスとネックレスを創作しました。太さや色みの異なる白を混ぜて色の奥行きを出しながら、シルクが持つ上品な光沢や弾力を際立たせ、右肩にはリボンやレースでコサージュを添えて、清らかなワントーンの中にも華やかさを持たせています。ボディはボーンで制作し、スチール製の什器などの日常的な素材を入れないことでピュアな世界観を創り出し、清らかな雰囲気を閉じ込めています。

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ーー特許技術はどの部分で使われているのですか?

全体から見て右下の首まわりの部分ですね。ロープ状のツイストコードに回転を加えながら編むと編み目が立ち上がり、より立体感を出すことができます。密度を高めて編むと絨毯のように毛が立つ特性を活かせたらと思い、今回この技術を取り入れてみました。

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ーー色みの差異が秀逸で、見る角度によっても違う陰影が生まれる、表情が豊かな作品ですね。続いて、多色使いでデザインした「いばら姫」についておうかがいします。

こちらは、特に見る人の存在を意識しながら最大限の自由度で創作した作品です。本当はもっと多色にしたかったのですが、色で奇をてらわず、みんなが好きな森の色にしました。グリーンのシルクリボンを「どう見せると新しさが出せるか」「どう編めばこのリボンを活かせるか」を熟考しながら世界観を作っていきました。「雪の女王」同様、指で編んだ大きく柔らかなデザインに、緻密なバランスで繊細さも共存させ、カラフルな小花モチーフで可憐さもプラス。もう少しエッジを効かせた作品にしようと、パイピングを棘に見立てて表現しました。

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ーーパイピングの独創的な使用法と村松さんの表現力に改めて驚かされました。このパイピングの使い方はどういう瞬間にひらめいたのですか?

ショールームでこのパイピングが目に留まったのですが、僕が使うとエッジが効きすぎてしまいそうで躊躇していたんです。でも手を動かしていくと「これは作品のアクセントになるな」と。使用する分量を調整しながらもインスピレーションに導かれるように作品に取り入れました。

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ー多彩な表現をお持ちの村松さんですが、コラボレーション先がSHINDOと知った時はどんなお気持ちでしたか?

SHINDOのショールームには以前から足を運んでいたので、「あのたくさんのリボンの中から好きなものを自由に選んで創作できる!」とワクワクしました。僕は手を動かしながら創作するタイプなので、素材に触れてみて厚みや重みを確かめながら、作品のイメージを膨らませていきます。今回も実際にいろんなリボンに触れてみた結果、SHINDOオリジナルブランド「S.I.C.」の中から、光沢がありつつも繊細なシルクサテンリボンをメイン素材としてセレクト。表現方法を自由に模索するのは得意な方なので、イタリアで活動していた時のようにアート性のある作品を楽しみながら創作することができました。

ーー村松さんの技術と表現力が「S.I.C.」とコラボレーションしたらどんな新しいものが生まれるのかとても楽しみでした。作品の制作過程で大事にしたことや苦労された点などはありましたか?

今回のコラボレーションで大切にしたかったのは「リボンを素敵に見せる」ということ。

シンプルなことのように思えますが、簡単ではありません。プロトタイプで試行錯誤しながら使用する技法や編み目の見え方を検証。同じ編み方をしても素材によって出てくる表情が違うので、ショールームで実際にリボンを触って素材のハリ感や曲線の雰囲気、光の影響、素材自体の重さを感じ取りながら創作していきました。苦労したのは、原宿という街のショールーム空間で、いかにして作品が持つ非現実的な世界観を作り出すかという点。人に見られることを意識しながら、どうやって非現実的な空気感で展示するかが課題でした。

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ーー確かにテーマに合わせて作品も空間もデザインするショーや個展とは雰囲気が違いますよね。その懸念点をどうクリアされたのですか?

洋服を着せるボディやスチールの什器を入れるとさらに日常的なものが入り世界観を損なうため、ドレスを着せているボディも全て編みました。さすがにリボンだけでは強度が足りないので、パニエやコルセットに使用するボーンを使用しています。あとは背景にも気を配り、オーガンジーでキャンバスのような演出をしたり、フレームで囲ったり、世界観を一枚の絵に閉じ込めたように展示しました。

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ーーSHINDOとしてもリボンやパイピングなどの服飾副資材が主役として素敵な作品に昇華し、とても感激しています。今後もデザインの一部として新しい価値を高めていけるよう、より挑戦していきたいと考えております。

僕も「編み物を通して社会貢献をする」というミッションのもと、人のつながりを生み出すための新しい取り組みに挑戦しています。プロフェッショナルかそうでないかでボーダーを引くのではなく、たくさんのクリエイターが参加できるような創作活動を実現したいと思っています。今回SHINDOさんとのコラボレーションで得たことを、今後の仕事や取り組みでも活かせればと思います。

ーー2作品ともに村松さんの世界観を表現した作品となり、素敵なコラボレーションになりました。

リボンだけでこんな大作を創作したのは初めてですが、そう言っていただけて光栄です。「S.I.C.」のリボンの色はバリエーションが豊富なので、妥協せずに素材を選ぶことができました。色がデザインのイメージに合わない場合は自分で染めることもありますからね。

僕のように素材を見てデザインするタイプのデザイナーは、ショールームで素材に触れた瞬間からどんどんアイデアが湧き上がってくるのではないでしょうか。

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ーー来場者された方からも「リボンの新たな可能性を引き出した素晴らしい造形美」「リボンがこんな風に立体になるなんて驚きです」「日本では見たことがない芸術性の高さに圧倒されました」など、多くの驚きのコメントが寄せられました。DESIGNART TOKYOで生まれるアートの新しい化学反応。来年のイベントが待ち遠しいですね。

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