ProductsDec 14 2018
東京・青山の『Salon de TiTi』にてレディースウェアの「haori de TiTi」やジュエリー・和装 ブランド「de TiTi」を展開されているデザイナーの八巻多鶴子さん。2018年秋に開催された「haori de TiTi 2019 コレクション」のために開発したオリジナルツイードに、SHINDOが展開するS.I.C.をセレクトいただきました。今回コレクションのために作られた新素材開発への取り組みを通し、デザイナー視点からSHINDOが展開するS.I.C.やショールームについてお話しを伺いました。
ーーまずはアマゾンファッションウィーク東京(東京コレクション)へも公式参加されている「haori de TiTi」のブランドコンセプトからお聞かせください。
多様化する現代のライフスタイルにおいて、時代や様式、固定概念にとらわれないデザインを目指しています。着る人の着こなしで羽織のように身体になじみ、人それぞれの新しいフォルムや美しいシルエットが生まれるのが特徴です。上質で希少な天然素材を用いて表現を広げながら、女性を美しく華やかに魅せる「用の美」を追求しています。
ーー上質な素材や着心地のよさと華やかさのバランスを備え、着る人それぞれの装いで美しく着られそうですね。
もともと装飾文化は中世の男性の権力の象徴でした。しかし社交界での交流が盛んになると男女共が華美な装いを競い合うようになり、アートや音楽について個人の嗜好や見解が語られる機会が増え、女性が自分の意志で発言できる風潮が生まれました。そしてファッションもその流れに牽引され、個々のアイデンティティを追求して自己演出ができる時代へと移り変わっていきました。より自由に自分らしく咲くことのできる現代の女性たちにも、自己演出を楽しんでいただける装いをお届けできればと思っています。
ーー「haori de TiTi 2019 コレクション」で発表されたスタイルはデザインのみならず、オリジナルツイードの美しさに目を奪われました。コレクションのために開発したツイードは、日本の伝統工芸「多摩織り」で生み出されたオリジナルなんですね。7種類のツイードそれぞれに唯一無二の上品な表情を持っていて、とても素敵です。
ありがとうございます。私は着物の研究もしているのですが、そのなかで西陣織の職人の手仕事の素晴らしさに感動する機会がありました。熟練の技が光る日本の伝統技術を目の当たりにした時に、この素晴らしい手仕事で生まれる織物を洋服の素材にしたいと思い、開発を決意。高度な技術と匠の技を要する「多摩織り」で、天然繊維のシルクやカシミヤを入れて織ったらどんな表情のツイード生地になるのかと、まだ見ぬ一枚の生地に期待の思いを馳せながらスタートしました。ご縁のあった伝統工芸士に機織りをお願いする前に、まずはどんな素材を組み合わせるかを模索するため、原宿にあるSHINDOのショールームに何度も足を運び、イメージするレースやブレードなどをセレクト。たくさんのリボンを実際に見て、手で触れて、時には合わせる素材を持ち込んだりして選びました。そして持ち帰った素材たちを組み合わせ、手芸用の編み機を使って自分で試作織りもしました。
ーーやはり職人の手仕事に魅了される八巻さんだからこそ、ご自身の手で素材特性や組み合わせの相性を感じながら「想像から創造へ」進まれるのですね。
日本の精緻な織物に魅せられ、伝統工芸と織物の可能性を探りながら自分で新素材の試し織りをするなかで気付くことがあるんです。織物の糸としてリボンを使用する際のテンションのかかり方や風合い、リボンの存在感を出すとラグジュアリー感が増すなど、自分の手を動かして試すからこそ得られた発見がありました。あとは、同じ素材でもたて糸とよこ糸の組み合わせが少し変わっただけで生地の表情が異なるというのも、実際にやってみて明確にわかったことです。一度で思うようにならない大変さはありましたが、とても楽しかったですよ。
ーーSHINDOの製品が、服作りをサポートするパーツとしてだけではなくデザインポイントとして引き立つ魅力を発見していただき、私たちも大変嬉しく思っています。
中世の絵画に描かれる貴族のドレスや民族衣裳を見ても、服飾副資材が上手に使用されていますよね。ドレスの装飾としてレースを贅沢に使用したり、ブレードに宝石を縫いつけたりして装飾しています。私は装飾美に興味があるので、リボンやレース、ブレードなどの細かなパーツもこだわりたい思いがありますし、デザインに大きな影響を与えると感じています。私にとってリボンは宝飾品の延長線上にあるものです。「haori de TiTi 2019 コレクション」では生地自体に独自の魅力を宿すためにリボンやシルク、ボールチェーンなどの異素材も織り込んでいますが、美しいドレープを作るためや補強のため、副資材としても適材適所で与えられた役割を見事に果たしてくれました。
ーー「haori de TiTi 2019 コレクション」ではチェンバロとフルートの優雅な生演奏とともに、コレクションをお披露目されていましたね。
今回、生演奏の演出を取り入れたのは、「〜文化を奏でる女性たちへ〜」というコレクションテーマを、より鮮やかにしてくれると考えたからです。中世の宮廷文化で個々のファッションが開花した時代、サロンを主宰し文化を体現することで洗練され、世の中をリードした貴婦人たちがいました。そんな、文化を奏でる女性たちへのオマージュをコレクションテーマとして掲げた時に、一番最初に決めたのがそのテーマに合う音楽でした。毎回コレクションの際、私はショーで使用する音楽から決めます。音楽は目に見えないものだけれど、よりお客様に鮮明な世界観をイメージしていただくことができ、瞬時に優雅な空気で会場を包むことができるからです。私はサロン文化に憧れがあるので、ゲストに美しい音楽をお聴かせしながら交流を深めていた中世のサロン文化の雰囲気をみなさまに体感していただけたらと思いました。そしてなにより、私がデザインをする時に一番インスピレーションを得る音楽とともに新しい「haori de TiTi」を見ていただけたらと思い、生演奏の演出をしました。
ーーお話をお聞きするにつれ、アートや音楽に造詣が深い八巻さんだからこその審美眼や、素材選びにも独自のセンスをお持ちである理由が紐解かれてきました。では、八巻さんが感じるSHINDOの「S.I.C.」の魅力を聞かせてください。
服飾副資材として優秀。そして織物ではできない美しさをリボンやテープでプラスする時に主張しすぎず、スマートにデザインと一体化する使いやすさがあるところですね。同じリボンでもサイズが太いものや細いものと、バリエーションがあるのも魅力です。時に今回のオリジナルツイードのように、デザインのアクセントになってくれるデザイン性の高さも「S.I.C.」に信頼を寄せる部分ですね。一言で言うと、さりげないけれど、欠かせないもの。そしてなによりの魅力は、クリエイターの想像力を膨らませてくれるショールームの存在ではないでしょうか。膨大な量の実物を実際に見て触れられるショールームは、アイデアの芽に新鮮な水を与えてくれる、まさにオアシスのような場所です。
ーー創作活動に必要な場所としてご利用いただけて大変嬉しいです!最後にSHINDOのショールームに感じる価値をお聞かせ願えますか?
実際のリボンを見て色を合わせながら配色のバランスを直感的に感じたり、触れたりすることで、生地同士の相性や厚み、ドレープの出方やストレッチ性などの縫製適正を確認できたりするのは創作するうえで大きなメリットです。私は美術館の絵画や中世の時代を描いた映画の衣裳からデザインのインスピレーションを受けることが多いのですが、そのイメージを頭に入れてショールームに足を運ぶと、さらにイマジネーションを膨らませることができます。いつもデザイナーの相談にも親身になって応えてくださいますし、今回の「haori de TiTi 2019 コレクション」での生地開発にもご協力いただき、とても感謝しております。SHINDOさんの協力なしでは、今回の作品は作れなかったと思います。創作活動の際にはこれからもお世話になりますので、今後ともよろしくお願いしますね!
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