TechniqueOct 12 2018

SHINDOで活躍する職人たち vol.2

機械を使う作業も細かな調整は人の手と目が必要不可欠。長年培ってきた職人の臨機応変な感覚はきっとAIでも簡単には真似できません。私たちは信頼されるものづくりに必要な、技術や環境の向上を目指し、日本製の高品質な製品づくりにこだわり続けています。そんなSHINDOのものづくりを真摯に支えている人。自然豊かな福井県の自社工場で活躍する職人たちを紹介いたします。

■開発部 次長 佐々木 正明

お客様の期待を超える品質のために、自由に考えられるおもしろさがある。

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現在、リボンやサスペンダー、インナーのストラップ、腕時計のベルトなど、さまざまな織物の織機を担当しています。主な仕事は、オーダーを受けてからの設計業務です。

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オーダーメイドの製品依頼には設計図がないので、まずは要望やアイテムにあわせて仕上がりを想像し、難燃性などの物性要求に合う加工条件も考えながら糸種を選び、どの織機にかけて生産するのが最適かを考えながら設計図を作成。最終形の設計図までに他の技術者とも話をして検討することも。

具体的にお客様からイメージをご指示いただくこともありますが、サンプルイメージをお持ちいただく場合、素材だけ指定いただく場合、絵で描いてくださる場合、イメージを口頭でお伝えいただく場合などいろいろです。答えや解釈がひとつではないという意味では、お客様の要望は無限大。私の場合は、満足いただける製品を作るために自分で自由に考えられるということが、やりがいにつながっています。


0から1をつくることが多いこの仕事に、幼少期からのモノづくり精神が息づいている。

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私がSHINDOに入社したのはもう30年以上も前。長い年月をかけて、分割、整経、織機、カバーリング機、収縮セット加工、試験染めなど、織物に関わる工程を一通りやってきました。設計図を読み解いて組み立てたり、物の構造を理解するのが好きなので、どの工程のものづくりもやりがいがありましたね。父が自営業で家にいろんな大工道具があったこともあり、小さい頃から頭で構想を練って木を削り、自分でおもちゃを手作りしていたんですが、今考えればなかなか面白いことをしていたなと思います(笑) 今の仕事に向いていると思うのも 、幼少期のモノづくり体験の影響が多分にあるかもしれません。私は、同じ作業を繰り返すのが少々苦手で、「いい結果を出すために良案はないか」と、新しいことばかり考えるタイプです。いつも「いいものを作りたい!」という一心で機械のことを研究し、手法を考えて日々取り組んでいます。

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思案していたある時、今までとは違う方法がひらめき、オリジナルの手法で織ったことがありました。いつもアドバイスをくれていた当時の社長に完成した製品を見てもらった際に、「これ、どうやって作ったんだ?すごいじゃないか!」と驚かれました。それは自分のやり方で想像を超えるいいものが作れたと思えた瞬間でした。お客様のイメージをそのまま形にするのではなく、それを上回るもの、もっと新しいものを作る。考えれば考えるほど製品が進化してどんどんいいものができるんです。これは本当に面白い仕事だと思いましたね。


徹底したこだわりで勝ち取ったコンペ。出荷直前の間際まで、仲間と品質を高めた。

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大手インナーブランドのストラップを作るコンペに参加した時のこと。弊社は後発で依頼を受けたのですが、正直、設備面では競合他社に少しばかり劣っていました。「普通にやっていては要望に答えられず、コンペに勝てない。」だからこそアイデアと自分の技術力で徹底して品質にこだわるしかないと思いました。当社の機械で最善をつくして完成させた製品をいざ出荷しようと思った時、「従来のやり方を見直して、もっと品質を高められないかな」「もっと工夫を重ねて細部をつめよう」という思いが湧き上がり、最後の最後まで仕上がりレベルの高さを追求しました。当時の機械では100%お客様の要望に合うものを作るのは難しいとされていましたが、現場のスタッフと協力して他の機械についている部品を付け替えたり、細かい部分を調整したりして、より高いレベルのものが仕上がったんです。

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結果、めでたくコンペを勝ち取り当社に受注が決定。仲間と一緒に苦悩し、喜びを分かち合った時間は強い絆になりました。その後、クライアントの担当者さんに勝因をうかがったところ「純粋に商品が良かったからですよ」と一言。それを聞いたときに職人冥利につきましたね。追求すればするほどいいものができる。チャレンジすればするほど、新しいものを生み出すことができる。そのことを知ったからこそ「付加価値を高めるためにもっと追求できないか」という、今の自分があるのかもしれません。品質への強いこだわりと、絶対に諦めない精神。SHINDOブランドが大切にする心を胸に、これからは最新技術を駆使した高機能商品などの自社開発にも取り組みながら、多様なニーズに応えるオリジナル製品を生み出していきたいと思います。

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