TechniqueOct 12 2018

SHINDOで活躍する職人たち vol.1

機械を使う作業も細かな調整は人の手と目が必要不可欠。長年培ってきた職人の臨機応変な感覚はきっとAIでも簡単には真似できません。私たちは信頼されるモノづくりに必要な、技術や環境の向上を目指し、日本製の高品質な製品づくりにこだわり続けています。そんなSHINDOのモノづくりを真摯に支えている人。自然豊かな福井県の自社工場で活躍する職人たちを紹介いたします。

■開発部 課長 十九波 敏美 

「編み場一筋、27年。相棒の編み機とともに挑戦し続けてきた日々。」

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私が担当する経編(たてあみ)はループ状にした糸を縦方向へ編み上げる製法です。スポーツウエアに使用されることが多く、メーカーのオーダーに応じた機能性とデザイン性の両方を満たす生地を編んでいます。「編む」と一言に言ってもオーダー製品は毎回が新プロジェクト。まず私が最初に取り掛かるのは、求められるデザインと機能を両立させるために「どういう組織で編めばベストなのか」を考えることから始まります。

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お客様の頭の中にあるイメージと共有認識を持てるまでお話をうかがって、その製品を完成させるための構成を思案しながら設計図を作成。実際に編んで、見て、触って、「う〜ん、少し違うな」と、さらに編み場で試行錯誤。目と手で編み機を微調整し、再度挑戦しながら製品精度を高めて完成を目指します。自ら手がけた製品が使用されたウエアをショップで見つけた時や、着用しているアスリートの姿を目にした時には大きな喜びを感じますね。製品自体も工場で編み上がった時よりも、心なしか誇らしげに見えますよ(笑)


一人前の職人への近道は、ない。だからこそ本気で挑んだことが自信になる。

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小さい頃からプラモデルなどを作ることや絵を描くことが好きでした。仕事を選ぶときも、物を売るよりも物をつくる仕事に魅力を感じる性格。経編の職人として「早く一人前になるぞ!」と意気込んだものの、僕が入社した頃は今のようにメーカーでの勉強会なども無く、先輩職人の背中から学ぶという時代。基本的な事を教えてもらった後は、機械の構造や編み物の原理を理解するために現場で手を動かしながら勉強しました。独学で生地を分解して組織を見て、それを設計図に書き起こす。そしてその設計図通りに自分で編んでみて元の製品のようにきれいに編み上がるかを検証。自己流だけど、少しでも早く一人前になろうと必死でいろいろやってましたね。その甲斐あってか、それまで社内でできなかった編み方で良い製品ができた時は、技術者としての自信が持てるようになりました。しかし、そう思えるようになったのは10年近い月日が経過した頃でした。一人前になるまでの職人の道に近道はないですね(笑) 

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オーダーを受けた時は「これは無理かも」と思うことも、糸の選び方、機械への糸の掛け方、細かい機械調整を想像しながら常に方法を模索していると、突然妙案がひらめくことがあります。そしてすぐさま取り掛かり、自分の思った通りに完成し、お客様の喜びの声を聞けた時は最高の気分ですよ。この達成感が次の挑戦へと背中を押してくれるんです。


「こだわりを持ちすぎない」という、こだわりを持つ。

 だからこそ、そこから新しいものが生まれる。

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新しい編物を開発することをミッションとした、開発に携わるようになって10年。新素材の開発は簡単ではなく、高い壁が立ちはだかることばかりですが、「これができれば革新的だ!」と前向きに自分を鼓舞しています。四六時中編み機のことを考えて過ごす日もありますが、日本職人のプライドとSHINDOの存在意義のために本気で取り組んでいます。「さすが職人のこだわりですね!」なんて声をかけてくださる方もいるのですが、私の場合は「こだわりを持ちすぎないことが、こだわり」なんです。もちろん頑固なまでにこだわり抜くこともありますが、新しい方法を模索している段階はあえて固執しすぎないように気をつけています。知識と経験で考えても光が見えない時は、一回白紙に戻す。自分の正解にこだわりすぎず、頭を柔らかく。そのほうがいろんな発想ができるんです。頭が硬いと常識の範囲内から抜け出せないですからね。決して諦めるという意味ではありません。目指す結果のために、一から取り組み続ける職人のこだわりが心に根を張っています。

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自分の満足がゴールではなく、人の生活に役立つものを生み出すモノづくりが私の使命。目に触れにくい分野の資材もありますが、SHINDOが生み出した製品が「安心」「安全」「かわいい」「きれい」「カッコいい」など、暮らしの中の幸せや快適さに貢献できるものであってほしい。そんなモノづくりのために、固定概念を捨てた柔軟な発想とあきらめない精神を持ち、伝統技法と新しい手法の組み合わせで新素材開発というゴールを目指していきます。

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