ProductsMar 25 2019
2010年に結成したリボネシアは、アーティストの前田麦氏とクリエイティブ・デイレクターの吉川徹氏によるアートユニット。リボンを素材としたアート作品は、世界中に驚きと感動を与え、多くの人を魅了し続けています。国内外の展示以外にも広告や店頭ディスプレイ、CMなど多岐にわたる活動範囲のなかで、常に新しいエッセンスを加えたリボンアートを創作し続けています。
原宿のショールームに来られた前田氏と吉川氏に、リボネシア誕生ストーリーからお話をうかがいました。
前田氏:「リボンはキャッチーで誰が見ても美しいというアイテムですよね。ラッピングの飾りとしてギフトをよりゴージャスに見せ、気分を高揚させるために華を添えている。けれども主役はリボンではなく箱の中身です。たとえ美しいリボンでも最初に捨てられる存在だという固定概念をくつがえし、違う表現ができれば新しい価値が生まれるのではないかと考えました。そこで、リボンを主役にした作品を作ろうとリボンを曲げたりねじったりすることから始めました。これが一番最初のきっかけですね。日陰のものにフィーチャーしたい性分なんです。世界中を探しても動物型のリボン作品は見つからず、だったら作ってみようとチャレンジしました。」
吉川氏:「前田氏がリボンで作った動物を初めて見た時、直感的にすごい作品だと思いました。これは世界中どこを見渡しても存在しない。いきなり世界へ発信しても海外で高い評価を受けるレベルのアート作品だ。海外で話題になれば日本国内の興味や評価はおのずとついてくる。だからこそ最初から日本の枠を超え、世界へ向けたプロモーションを展開しようと。どこの誰だかわからない作者不詳、国籍不詳の状態で世界観を作り、あえて英語表記でラグジュアリーな雰囲気が漂うWebサイトを開設。これが、リボネシアとして本格的に歩みを始めた2010年のことです。海外は全く見たことがないものだとしても、純粋に良いと思ったものに価値を感じてくれますから。いわば逆輸入的なブランド戦略ですね。」
吉川氏:「地図にも載っていないリボネシアという国で、自然の動物と触れ合いながらリボンを使ってもの作りをする人がいる。そんな架空の国の物語をイメージして世界観を固めていきました。実はWebサイトを見たSHINDOニューヨーク支店のスタッフも、日本人アートユニットとは知らず英文メールでコンタクトがありました。最初のオファーはイギリスからあり、リボネシアのアート作品がグローバルに認められた瞬間でした。」
作品の素晴らしさに感動した東京支店のスタッフが前田氏に連絡を取り、リボネシア用のリボン開発がスタートしました。リボネシアのアートワークに使用されているリボンは、SHINDOオリジナルブランド「S.I.C.」に特殊加工を施したもの。
リボネシアの緻密な造形の端々に宿るつややかさ、おおらかな生命感を感じさせる優美な曲線を生み出すために共同開発したリボンは、一体どのようなオーダーだったのでしょうか。
前田氏:「リボネシア加工の最大のこだわりは"適度なハリ"です。リボンが固すぎてもダメ。5cmの輪を作った時にベストな丸みが出るハリ感をとことん追求しました。もうひとつのこだわりは上品な光沢感。幾重にも重ねた時にハイライトの映り込みが揃わないと美しくないので、これも妥協できないポイントです。重厚感を出すための厚みも、ラグジュアリーさに直結するのでこだわりたかった部分。そんな多くの要望に応え、ベストなリボネシア加工を実現してくださり、SHINDOのスタッフには本当に感謝しています。そして原宿のショールームでのディスプレー、ワークショップが出来たからこそ今につながっていると思います。リボンのプロとしてのアドバイスやご意見もありがたかったです。」
吉川氏:「リボネシアはクライアントワークではなく"アートワーク"です。今までのものに何か新しいエッセンスを加えて、自分たちが見たことがないものを作ることにこだわり、芸術性を求めたアートワークに魅力を感じてもらえるからこそ価値が生まれ、クライアントワークが生まれます。2018年には資生堂の『SHISEIDO ホリデーコレクション』のパッケージデザインとして世界88の国でのグローバルキャンペーン、店頭ディスプレイなども手掛けました。」
前田氏:「海外のギャラリーで個展をしたいですね。以前、福井県あわら市の"金津 創作の森"での展示依頼があった時に、広い展示スペースを活かして今までにない大きい作品を作ろうという新しい発想が生まれました。次のステージへのきっかけを得るための挑戦を続け、世界中の多くの方に感動してもらえる作品をたくさん作りたいです。」
吉川氏:「さらに純度の高いアートワークにしたいです。僕たちがこの世にいなくなってからも芸術作品として様々な美術館で展示され、ずっと見続けてもらえるアートとしてリボネシアを後世に残し、アートヒストリーの年表に足跡を残したいですね。」
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